運送業の許可更新制とは?開始時期・更新要件・今から準備すべきことを行政書士が解説
はじめに
運送会社の経営者の皆様は、「トラック運送業の許可が更新制になる」という話を聞いたことはありませんか?
これまで一般貨物自動車運送事業の許可は、原則として一度取得すれば、許可そのものに定期的な更新期限はありませんでした。しかし、2025年6月に公布された「トラック適正化二法」により、トラック運送事業の許可に5年ごとの更新制を導入することが決まりました。
今後は、許可を取得しているだけでなく、法令を守り、安全管理や適正な事業運営を継続していることが、許可の更新において重要になります。
この記事では、運送業の許可更新制の概要、開始時期、更新に向けて準備しておきたいことを行政書士が解説します。
1.運送業の許可更新制とは?
許可更新制とは、一定期間ごとに許可の更新を受けなければ、事業許可の効力を失う仕組みです。
2025年6月11日に公布された貨物自動車運送事業法の改正により、トラック運送事業の許可について、5年ごとの更新制が導入されることになりました。
この制度の目的は、トラック運送事業者の法令遵守や輸送の安全を確保し、運送業界全体の健全な発展につなげることです。
更新制の導入後は、許可を取得していることだけでなく、事業を継続するための基準を満たしているかどうかが、これまで以上に重要になると考えられます。
2.許可更新制はいつから始まる?
2026年10月時点では、許可更新制の具体的な施行日は、公布後3年以内の範囲で政令により定められることになっています。
法律の公布日は2025年6月11日であるため、制度の施行は遅くとも2028年6月11日までの範囲で定められる予定です。ただし、具体的な開始日や、既存事業者が最初に更新を迎える時期などについては、最新の国土交通省の公表内容を確認する必要があります。
また、制度の開始日と、個々の運送会社が更新申請を行う時期は同じとは限りません。更新の申請方法、必要書類、手数料、既存事業者の移行措置など、具体的な運用については今後の案内に注意しましょう。
「まだ開始日が確定していないから準備は不要」と考えるのではなく、日頃から法令遵守と書類管理を徹底することが大切です。
3.許可更新では何が確認される?
改正法では、許可基準に「法令の規定を遵守して事業を遂行することが見込まれること」が追加されます。
国土交通省の制度概要では、輸送の安全確保、社会保険料の納付、適正原価の収受などを含め、法令を守って事業を運営していることが重要とされています。
具体的な審査方法や必要書類の詳細は、今後の制度運用に関する公表を確認する必要がありますが、運送会社としては、次の項目を日常的に点検しておくことが有効です。
① 輸送の安全管理
点呼を適切に実施し、記録を保存しているか
運転者台帳や乗務記録を適切に管理しているか
運転者への安全教育や指導を実施しているか
健康診断や適性診断など、必要な対応を行っているか
車両の日常点検・定期点検整備を適切に実施しているか
安全管理に関する記録は、作成するだけでなく、実際の業務と一致していることが重要です。
② 事業計画と運行管理
営業所や車庫などの事業計画に変更があった場合、必要な手続きを行っているか
運行管理者・整備管理者などの選任や届出に漏れがないか
運転者の労働時間や拘束時間を適切に管理しているか
車両の増車・減車などに伴う必要な届出を行っているか
事業内容と届出内容が一致しているか、定期的に確認しておきましょう。
③ 社会保険料などの納付
社会保険への加入や保険料の納付など、関係法令に基づく対応も重要です。
加入状況や納付状況に問題がないか、給与・労務関係の資料とあわせて確認しておくことをおすすめします。
④ 適正な事業運営
改正法では、適正原価を下回る運賃・料金の制限など、運送事業の持続可能性を確保するための制度も設けられています。
適正原価に関する具体的な基準や施行時期については、最新の公表内容を確認しましょう。自社の運行原価や収支を把握し、継続的に事業を運営できる体制を整えておくことが大切です。
4.巡回指導への対応が重要になる
許可更新制への準備として、特に確認しておきたいのが巡回指導への対応です。
巡回指導では、運送会社の法令遵守状況について、運行管理、車両管理、労務管理、事業計画などの項目が確認されます。
例えば、次のような状態は、早めに改善しておきたいポイントです。
点呼記録簿に記入漏れがある
運転者台帳の記載内容が古い
安全教育の記録が不足している
健康診断の実施状況を把握できていない
乗務記録や運転日報の保存が不十分
事業報告書や事業実績報告書の提出が遅れている
営業所・車庫・車両などの変更手続きが未対応になっている
こうした問題は、制度開始直前にまとめて対応しようとすると、確認や書類作成に多くの時間がかかる可能性があります。
巡回指導の前だけでなく、普段から記録や届出の状況を点検し、問題があれば早めに改善しましょう。
5.運送会社が今から準備すべき5つのこと
許可更新制の詳細が確定する前でも、取り組めることはあります。
① 必要書類を整理する
点呼記録簿、運転者台帳、乗務記録、教育記録、車両関係書類などを整理し、必要な記録をすぐに確認できる状態にしておきましょう。
② 届出・報告の提出状況を確認する
事業報告書、事業実績報告書、各種変更届など、提出が必要な書類に漏れがないか確認します。
③ 巡回指導の指摘事項を改善する
過去の巡回指導で指摘された事項がある場合は、改善状況を確認しましょう。同じ問題を繰り返さないよう、社内の管理方法を見直すことが重要です。
④ 社会保険・労務管理を確認する
加入・納付状況に加え、ドライバーの労働時間、拘束時間、休息期間などを適切に管理できているか確認します。
⑤ 制度の最新情報を定期的に確認する
施行日、更新申請の手続き、必要書類、手数料、既存事業者への経過措置などは、国土交通省や地方運輸局の公表資料を確認しましょう。
制度の開始前に正確な情報を把握し、自社に必要な対応を計画的に進めることが大切です。
6.運送業の許可更新制に関するよくある質問
Q1.運送業の許可は何年ごとに更新するのですか?
改正法では、トラック運送事業の許可について5年ごとの更新制が導入されることになっています。具体的な施行日や申請スケジュールは、国土交通省の最新情報を確認してください。
Q2.許可を取得していれば、自動的に更新されますか?
自動更新ではありません。法令遵守や安全管理など、更新に必要な基準を満たしていることが重要です。具体的な審査方法については、今後の制度運用に関する公表を確認する必要があります。
Q3.巡回指導で指摘を受けたら、許可を更新できませんか?
巡回指導で指摘を受けたことだけをもって、直ちに更新できないと一律に判断することはできません。指摘内容を確認し、必要な改善を進めることが大切です。更新の可否は、適用される基準や審査内容に基づいて判断されます。
Q4.更新制の開始まで、何もしなくてもよいですか?
点呼や運転者台帳などの管理、必要な届出・報告、社会保険や労務管理の確認は、日頃から適切に行う必要があります。早めに自社の状況を点検しておきましょう。
7.まとめ|許可更新制に備えて、日頃から法令遵守を徹底しましょう
トラック運送業の許可更新制は、運送会社にとって重要な制度変更です。
今回のポイントを整理します。
トラック運送事業の許可に5年ごとの更新制が導入される
具体的な施行日は政令で定められるため、最新情報の確認が必要
輸送の安全、法令遵守、社会保険料の納付などが重要なポイントとなる
巡回指導への対応や必要書類の管理を日頃から徹底する
事業報告書や各種変更届などの提出漏れがないか確認する
許可更新制への対応は、制度が始まる直前に慌てて準備するのではなく、日々の管理体制を整えることから始まります。
運送業の許可・巡回指導対策は行政書士福原総合事務所へ
行政書士福原総合事務所では、一般貨物自動車運送事業許可、事業報告書・事業実績報告書の作成、巡回指導サポート、各種変更手続きなど、運送事業者様の業務をサポートしています。
ドライバーから運行管理者、運送会社役員を経て行政書士となった経験を活かし、運送事業者様の立場に寄り添った支援を心がけています。
「許可更新制に向けて何を準備すればよいかわからない」
「巡回指導に備えて書類を確認したい」
「届出や報告書に漏れがないか確認したい」
このようなお悩みがございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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