運送業の事故報告とは?報告が必要な事故・期限・事故発生時の対応を行政書士が解説

query_builder 2026/10/06
コラム
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一般貨物自動車運送事業を営んでいると、交通事故や車両故障など、さまざまなトラブルが発生する可能性があります。

事故が発生した場合、まずは負傷者の救護や警察への連絡など、現場での対応が最優先です。

しかし、運送会社にはそれだけではなく、一定の事故について国土交通省へ報告する義務があります。

「この事故は報告が必要なのか?」

「いつまでに報告すればいいのか?」

「事故速報と事故報告書は何が違うのか?」

このような点を理解していないと、報告漏れにつながる可能性があります。

実際に国土交通省の行政処分情報を見ると、自動車事故報告規則に定められた事故について、未報告が違反として認定された事例があります。

今回は、一般貨物自動車運送事業者が知っておきたい事故報告について、報告が必要となる事故、提出期限、事故速報との違い、事故発生後の対応について行政書士がわかりやすく解説します。

1.運送会社には事故報告の義務があります

一般貨物自動車運送事業者が使用する事業用自動車について、一定の事故が発生した場合には、「自動車事故報告規則」に基づく報告が必要です。

根拠となるのは、貨物自動車運送事業法第24条と自動車事故報告規則です。

国土交通省の案内でも、一般貨物自動車運送事業者が重大な事故を起こした場合には、自動車事故報告書を提出する手続きが定められています。

ここで重要なのは、

「交通事故が発生したら、すべて同じ手続きになるわけではない」

ということです。

事故の内容によって、

  • 事故報告書を提出する事故

  • 事故速報が必要な事故

  • 事故報告書と事故速報の両方が関係するケース

  • 一般的な交通事故として通常の社内処理を行うケース

などに分かれます。

そのため、事故が発生した場合には、まず「報告対象となる事故か」を確認することが重要です。

2.どのような事故が報告対象になる?


自動車事故報告規則では、報告が必要となる事故が具体的に定められています。

代表的なものとして、次のような事故があります。

① 乗車している者などに死者・重傷者が生じた事故


交通事故によって死者が発生した場合や、一定の重傷者が生じた場合などは、事故報告の対象となる可能性があります。

単純に「車両同士がぶつかった」というだけではなく、人身被害の内容が重要になります。

② 10人以上の負傷者が生じた事故

多数の負傷者が発生した事故も報告対象となります。

特に大規模な事故では、事故速報の対象にもなる可能性があります。

③ 車両火災などの事故


事業用自動車に火災が発生するなど、一定の事故についても報告が必要となります。

④ 鉄道施設などを損傷した事故


事故によって鉄道施設を損傷し、一定時間以上鉄道車両の運転を休止させるなど、社会的な影響が大きい事故も対象となります。

⑤ 高速道路などの通行を長時間禁止させた事故

高速自動車国道や自動車専用道路において、一定時間以上通行を禁止させた事故も報告対象となります。

⑥ 車両故障に起因する事故

車両の故障が原因となって事故が発生した場合には、事故報告書だけでなく、故障に関する資料の添付が必要になる場合があります。

国土交通省は、事故報告書のほか、車両故障事故の添付票などの様式も用意しています。

⑦ 健康起因による事故


運転者の疾病などが原因となって事故につながった場合も、事故の状況によって報告対象となることがあります。

その場合には、通常の事故報告だけでなく、健康起因事故に関する資料が必要となるケースがあります。

⑧ その他、国土交通大臣が報告を指示した事故

自動車事故の発生防止のため、国土交通大臣が特に必要と認めて報告を指示した事故も対象となります。

このように、事故報告の対象は単純な「死亡事故・重傷事故」だけではありません。

車両故障、健康起因、道路や鉄道への影響なども含まれるため、判断に迷う場合は早めに管轄運輸支局へ確認することをおすすめします。

3.事故報告書の提出期限は30日以内


報告対象となる事故については、原則として事故が発生した日から30日以内に自動車事故報告書を提出します。

自動車事故報告規則第3条では、一定の事故について、事故発生日から30日以内に報告書を提出することが定められています。

提出先は、

当該自動車の使用の本拠の位置を管轄する運輸支局等

です。

つまり、事故が発生した場所ではなく、原則として車両の使用の本拠を管轄する運輸支局等が提出先になります。

なお、救護義務違反に関する一定の事故や、国土交通大臣から報告を指示された事故については、起算日が異なります。

そのため、「すべて事故発生日から30日」と単純に考えないことも大切です。

4.「30日以内」と「24時間以内」は違う

運送会社が特に注意したいのが、

事故報告書と事故速報は別の手続き

という点です。

重大な事故の一部については、事故発生後24時間以内に、できるだけ速やかに管轄運輸支局等へ電話などで速報する必要があります。

国土交通省の資料では、事故速報の対象として、例えば、

  • 2人以上の死者が生じたもの

  • 5人以上の重傷者が生じたもの

  • 10人以上の負傷者が生じたもの

などが示されています。

つまり、

通常の事故報告書:原則30日以内

事故速報:対象事故の場合、24時間以内にできるだけ速やかに

という違いがあります。

ここを間違えないようにしましょう。

5.事故が発生したら最初に何をする?


事故が発生した場合には、報告書を作ることより先に、人命救助や二次事故防止などの初動対応が必要です。

一般的には、次のような流れで対応します。

STEP1 負傷者を救護する

まずは負傷者がいる場合には救護を行います。

STEP2 二次事故を防止する

安全な場所への移動など、可能な範囲で二次事故を防止します。

STEP3 警察・消防へ連絡する

事故の状況に応じて警察や消防へ連絡します。

STEP4 会社へ連絡する

運転者から会社の運行管理者や担当者へ、事故発生を速やかに報告します。

STEP5 運行管理者が事故状況を確認する

事故の日時、場所、車両、運転者、相手方、負傷者の有無などを確認します。

STEP6 事故報告の必要性を確認する

自動車事故報告規則に該当する事故かどうかを確認します。

STEP7 必要に応じて事故速報を行う

速報対象の場合は、定められた方法で速やかに管轄運輸支局等へ連絡します。

STEP8 事故報告書を作成・提出する

報告対象の場合は、必要事項を確認して自動車事故報告書を作成し、期限内に提出します。

事故発生時に慌てないためにも、平常時から「事故発生時の連絡体制」を整備しておくことが重要です。

6.事故発生時の連絡体制を決めておく


事故は突然発生します。

そのため、

「事故が起きたら誰に連絡するのか」

を事前に決めておく必要があります。

例えば、

ドライバー → 運行管理者 → 営業所責任者 → 会社代表者

というような連絡体制を整えておく方法があります。

また、

  • 警察への連絡

  • 救急・消防への連絡

  • 荷主への連絡

  • 保険会社への連絡

  • 運輸支局への連絡

  • レッカー・修理業者への連絡

など、事故の内容に応じて必要な連絡先を整理しておくと安心です。

事故発生時に担当者が不在でも対応できるよう、緊急連絡先を複数の担当者が共有しておくことも重要です。

7.事故の記録も重要

事故が発生した場合には、国土交通省への報告だけでなく、会社として事故の記録を残すことも重要です。

例えば、

  • 事故発生日時

  • 発生場所

  • 運転者

  • 車両番号

  • 事故の状況

  • 相手方

  • 負傷者の有無

  • 警察への届出状況

  • 会社への報告状況

  • 運輸支局への報告状況

  • 事故後の対応

  • 再発防止策

などを整理します。

国土交通省の行政処分情報では、「事故の記録」や「自動車事故報告規則に基づく事故の届出」が違反事項として認定されている事例があります。

事故が発生した後に、

「事故報告書を出したから終わり」

と考えるのではなく、会社として事故原因を分析し、再発防止につなげることが大切です。

8.事故後の再発防止も運行管理者の重要な仕事

事故が起きた場合には、

「誰が悪かったのか」

だけを考えるのではなく、

「なぜ事故が発生したのか」

を分析することが重要です。

例えば、

  • 無理な運行計画ではなかったか

  • 点呼で健康状態を確認していたか

  • 運転者に疲労が蓄積していなかったか

  • 車両点検は適切だったか

  • 運行指示は適切だったか

  • 運転者教育は十分だったか

  • 荷物の積載方法に問題はなかったか

などを確認します。

事故原因によっては、運行管理規程の見直しや、運転者への指導・教育、点呼方法の改善などが必要になる場合もあります。

つまり、事故対応は、

事故発生 → 報告 → 原因分析 → 改善 → 再発防止

まで行うことが重要です。

9.事故報告の未提出は行政処分につながる可能性がある

事故報告については、

「事故が大きくなかったから報告しなくてもいいだろう」

と自己判断することは避けるべきです。

国土交通省の行政処分情報には、自動車事故報告規則に定められた事故について、未報告が違反として認定された事例があります。

例えば、令和8年7月21日付の行政処分では、車輪脱落事故を端緒とした監査で、「事故の届出義務違反」が認定されています。

また、過去の行政処分事例でも、事故報告の未届出が他の運行管理上の違反と併せて認定されています。

事故が発生したら、

「報告が必要かどうかを確認する」

ことを徹底しましょう。

10.巡回指導・監査に備えて事故関係書類を整理する

運送会社では、事故が発生した場合の書類や記録を適切に管理しておくことも重要です。

特に、

  • 事故記録

  • 自動車事故報告書

  • 事故速報に関する記録

  • 警察への届出状況

  • 事故原因の分析資料

  • 再発防止策

  • 運転者への指導記録

などについて、後から確認できる状態にしておきましょう。

事故に関する記録がバラバラになっていると、事故発生後の対応が適切だったか確認しにくくなります。

また、事故をきっかけとして、

「点呼記録」
「乗務記録」
「運行指示書」
「運転者台帳」
「教育・指導記録」

などを合わせて確認すると、運行管理体制の問題点を発見しやすくなります。

これまで当サイトで解説してきた運行管理関係の記事とも、非常に関連性の高い分野です。

11.運送会社が事前に準備しておきたい事故対応マニュアル

事故はいつ起きるかわかりません。

そのため、会社として「事故発生時対応マニュアル」を作成しておくことをおすすめします。

例えば、次の内容をまとめておきます。

事故発生時対応チェックリスト

  • □ 負傷者の救護

  • □ 二次事故の防止

  • □ 警察・消防への連絡

  • □ 会社への連絡

  • □ 運行管理者への連絡

  • □ 事故現場・車両の状況確認

  • □ 相手方情報の確認

  • □ 保険会社への連絡

  • □ 事故速報の必要性を確認

  • □ 運輸支局への連絡

  • □ 自動車事故報告書の作成

  • □ 事故記録の作成

  • □ 原因分析

  • □ 再発防止策の検討

  • □ 運転者への指導・教育

こうしたチェックリストを事前に用意しておけば、事故発生時にも落ち着いて対応しやすくなります。

12.事故報告に関するよくある質問

Q1.交通事故が起きたら必ず国土交通省へ報告するのですか?

すべての交通事故について自動車事故報告書を提出するわけではありません。

自動車事故報告規則で定められた報告対象事故に該当するかを確認する必要があります。

判断が難しい場合は、管轄運輸支局等へ確認しましょう。

Q2.事故報告書はいつまでに提出しますか?

原則として、報告対象となる事故が発生した日から30日以内です。

ただし、事故の種類によって起算日が異なる場合があります。

Q3.事故速報はいつまでですか?

事故速報の対象となる事故については、24時間以内においてできるだけ速やかに、電話など必要な方法により管轄運輸支局等へ報告する必要があります。

Q4.車両故障による事故も報告が必要ですか?

一定の車両故障に起因する事故は報告対象となります。

その場合には、事故報告書に加えて、故障状況などに関する資料の提出が必要になる場合があります。

Q5.事故を報告しなかったらどうなりますか?

報告対象となる事故について未報告の場合、法令違反として行政処分の対象となる可能性があります。

実際に国土交通省の行政処分情報でも、事故の届出義務違反が認定された事例があります。

まとめ

一般貨物自動車運送事業者には、一定の事故について国土交通省へ報告する義務があります。

事故が発生した場合には、まず人命救助や二次事故防止などの初動対応を行い、その後、

「報告対象事故か」

を確認することが重要です。

報告対象となる事故については、原則として事故発生から30日以内に自動車事故報告書を提出します。

一方、重大事故の一部については、24時間以内にできるだけ速やかに事故速報を行う必要があります。

さらに重要なのは、事故報告を提出して終わりにしないことです。

事故原因を分析し、運行管理体制や教育・指導、点呼、運行計画などを見直し、同じ事故を繰り返さないための再発防止策につなげることが大切です。

事故が発生してから慌てるのではなく、平常時から事故対応マニュアルや緊急連絡体制を整えておきましょう。

行政書士福原総合事務所では運送事業者様をサポートしています

行政書士福原総合事務所では、一般貨物自動車運送事業者様を対象に、

  • 運送業許可

  • 各種変更手続き

  • 事業報告書

  • 事業実績報告書

  • 巡回指導サポート

  • 運送事業に関する各種手続き

などをサポートしています。

代表は、ドライバーから運行管理者、運送会社役員を経て行政書士となった経験があります。

そのため、行政書士として書類を作成するだけではなく、運送会社の現場を経験した立場から、事業者様の実情に寄り添ったサポートを行っています。

「事故が発生したが、どのような手続きが必要かわからない」

「事故報告の対象になるのか判断できない」

「巡回指導の前に事故関係の記録を整理したい」

「運行管理体制を見直したい」

このようなお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。

対応地域:関東全域

※事故報告の対象となる事故や報告期限、提出方法等は法令改正等により変更される場合があります。実際の事故対応については、最新の自動車事故報告規則および管轄運輸支局等の情報をご確認ください。

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