運送業の運行管理規程とは?作成方法・記載事項・巡回指導で確認されるポイント
一般貨物自動車運送事業を営むうえで、「運行管理規程」は非常に重要な書類の一つです。
運行管理規程は、単に会社に備え置いておけばよい書類ではありません。
運行管理者の職務や権限、運行管理業務の具体的な処理方法などを明確にし、会社として安全な運行を行うためのルールを定めるものです。
特に、運行管理者を選任している運送会社では、実際の運行管理業務と運行管理規程の内容が一致していることが重要です。
今回は、運行管理規程とは何か、何を記載するのか、作成時の注意点、巡回指導に備えて確認しておきたいポイントについて、行政書士がわかりやすく解説します。
1.運行管理規程とは?
運行管理規程とは、運送会社が安全な運行を確保するために、運行管理者の職務や権限、運行管理業務の処理基準などを定めた社内規程です。
国土交通省の「貨物自動車運送事業の運行管理に関する基本的考え方」では、事業者は、運行管理者または統括運行管理者が適切かつ円滑に業務を行えるよう、運行管理規程を作成する必要があるとされています。
運行管理規程では、例えば、
運行管理者の職務
運行管理者の権限
統括運行管理者の組織・職務・選任方法
運行管理業務の処理基準
運行管理者と補助者の関係
点呼などの運行管理業務
などについて、会社としてのルールを明確にします。
つまり、運行管理規程は「運送会社の安全運行をどのような体制で管理するのか」を明文化したものと考えると分かりやすいでしょう。
2.なぜ運行管理規程が重要なのか?
運送会社では、毎日のようにドライバーが車両を運行します。
そのため、
「今日はこの人が点呼をする」
「忙しいときは別の人が対応する」
「何かあったら社長に相談する」
といった曖昧な運用では、安全管理が十分とはいえません。
運行管理規程によって、
誰が、どのような権限を持ち、どのような手順で運行管理を行うのか
を明確にしておくことで、担当者が変わっても一定の水準で業務を行いやすくなります。
また、国土交通省の資料では、事業者には運行管理者に対して、その業務を適確に処理することや、自社で定めた運行管理規程を守ることについて適切な指導監督を行うことが求められています。
3.運行管理規程には何を記載する?
運行管理規程に記載する内容は、会社の規模や営業所の体制などによって異なります。
しかし、少なくとも運行管理者が適切に業務を行えるよう、職務・権限や安全確保に関する業務の処理基準を明確にすることが重要です。
具体的には、次のような内容を整理しておくとよいでしょう。
① 運行管理者の職務
まず、運行管理者が何を担当するのかを明確にします。
例えば、
点呼の実施・管理
乗務割の作成
運行状況の把握
運行指示
運転者に対する指導・監督
各種記録の管理
事故・異常時の対応
などです。
② 運行管理者の権限
運行管理者が安全確保のために必要な判断をできるよう、権限を明確にしておくことも重要です。
例えば、ドライバーの健康状態や酒気帯びなどから安全運行が困難と判断される場合に、乗務をさせないなど、運行管理上必要な判断を行える体制を整えておく必要があります。
「運行管理者には責任があるが、判断する権限がない」という状態では、適切な運行管理を行うことができません。
国土交通省も、運行管理規程には運行管理者等が業務を行うために足りる権限を規定する必要があるとしています。
③ 統括運行管理者に関する事項
複数の運行管理者を選任している営業所では、統括運行管理者を置く場合があります。
その場合には、
統括運行管理者の選任方法
職務
組織上の位置付け
他の運行管理者との関係
などを明確にしておくことが重要です。
④ 補助者に関する事項
運行管理者の業務を補助するために補助者を選任している場合には、補助者の職務や運行管理者との関係についても整理しておきましょう。
補助者を置いているからといって、運行管理者の責任や選任義務がなくなるわけではありません。
⑤ 点呼に関するルール
点呼は運行管理の中心的な業務の一つです。
そのため、
誰が点呼を行うのか
どのような方法で行うのか
何を確認するのか
点呼結果をどのように記録するのか
などについて、実際の会社の運用と規程を一致させることが重要です。
なお、近年は遠隔点呼や自動点呼などの制度も整備されています。国土交通省は2026年にも関連する告示改正を行っているため、こうした方法を導入する場合には、最新の制度・要件を確認する必要があります。
4.運行管理規程と実際の業務が違っていないか確認
運行管理規程で特に注意したいのが、
「書類上のルール」と「実際の業務」が違っている
というケースです。
例えば、運行管理規程では、
「運行管理者が点呼を行う」
となっているのに、実際には補助者がほとんどの点呼を行っている。
あるいは、
「○○という手順で運行指示を行う」
と定めているのに、現場では別の方法で処理している。
このような状態では、規程を作成した意味が薄れてしまいます。
運行管理規程を作成したら、それで終わりではありません。
実際の運行管理業務が規程どおり行われているか
を定期的に確認することが重要です。
5.運行管理規程は会社の実態に合わせる
運送会社によって、車両台数、ドライバー数、勤務形態、運行形態などは異なります。
そのため、他社の規程をそのままコピーして使用するのではなく、自社の実態に合わせて作成・見直しすることが重要です。
例えば、
長距離輸送が多い会社
地場輸送が中心の会社
夜間運行が多い会社
ドライバーが少人数の会社
複数の運行管理者を置いている会社
では、実際の運行管理の方法も変わってきます。
国土交通省も、運行管理規程の作成にあたっては、個々の事業者が自社の実態を十分考慮し、実施すべき業務などを加える必要があるとしています。
6.運行管理規程は変更したら見直す
会社の状況が変わった場合には、運行管理規程も見直しましょう。
例えば、
車両を増車した
ドライバーが増えた
運行管理者を変更した
営業所の体制が変わった
点呼方法を変更した
遠隔点呼・自動点呼を導入した
運行形態が変わった
といった場合です。
会社の実態が変わったにもかかわらず、何年も前に作成した運行管理規程をそのまま使用していると、実際の運行管理体制との間にズレが生じる可能性があります。
特に、点呼方法などの制度は近年も改正されているため、古い規程をそのまま使わないことが重要です。
7.巡回指導前に確認したい運行管理規程のポイント
巡回指導を受ける前には、運行管理規程について次の点を確認しておきましょう。
チェック① 運行管理者が適切に選任されているか
現在の車両台数や営業所の体制に対して、必要な運行管理者が確保されているか確認します。
チェック② 運行管理者の職務が明確になっているか
誰が何を担当するのかが曖昧になっていないか確認します。
チェック③ 運行管理者に必要な権限があるか
安全確保のために必要な判断を運行管理者ができる体制になっているか確認します。
チェック④ 補助者の位置付けが明確か
補助者を選任している場合は、どの業務を補助させるのかを整理します。
チェック⑤ 実際の業務と規程が一致しているか
ここは特に重要です。
規程だけ確認するのではなく、実際の点呼、乗務記録、運行指示、教育などの業務と照らし合わせて確認しましょう。
8.運行管理規程だけ整えても十分ではありません
運行管理規程をきちんと作成していても、それだけで運送会社の安全管理が完成するわけではありません。
重要なのは、
規程 → 実際の運行管理 → 記録
が一貫していることです。
例えば、
「点呼を実施する」
と規程に書いてあるだけでは不十分です。
実際に点呼を実施し、その内容を適切に記録し、その記録を保存・管理する必要があります。
同じように、
運行指示を行う
乗務記録を作成する
教育・指導を行う
運転者台帳を管理する
といった業務についても、実際の運用と記録が伴っていることが重要です。
これまで当サイトで解説してきた「点呼」「乗務記録」「運行指示書」「運転者台帳」「教育記録」などは、すべて運行管理規程と関連する重要な業務です。
9.運行管理規程でよくある問題
運送会社でよく問題になりやすいのが、次のようなケースです。
ケース1 昔作った規程をそのまま使用している
会社の体制が変わっているのに、何年も前に作成した規程をそのまま使用しているケースです。
ケース2 実際の担当者と規程の担当者が違う
規程上は運行管理者が担当することになっているのに、実際には別の従業員が行っているケースです。
ケース3 補助者の業務が曖昧
補助者を選任しているものの、どこまで業務を任せてよいのか社内で整理されていないケースです。
ケース4 点呼方法が規程と違う
点呼方法を変更したにもかかわらず、規程の内容を変更していないケースです。
ケース5 規程はあるが従業員が内容を知らない
運行管理規程を作成しただけで、運行管理者や補助者が内容を十分理解していないケースです。
このような状態を防ぐためにも、定期的に規程と実際の業務を確認することが大切です。
10.運行管理規程は「会社の安全管理の設計図」
運行管理規程を単なる提出書類として考えるのはおすすめできません。
運行管理規程は、
「自社では、どのように安全運行を管理するのか」
を明確にするための重要なルールです。
例えば、
「点呼は誰が担当するのか」
「運行管理者が不在の場合はどうするのか」
「事故が発生した場合には誰に報告するのか」
「運行指示はどのように行うのか」
などをあらかじめ整理しておくことで、トラブルが発生した場合にも迅速に対応しやすくなります。
まとめ
運行管理規程は、一般貨物自動車運送事業者が安全な運行管理を行うために重要な社内規程です。
運行管理者の職務や権限、統括運行管理者の組織・職務、運行管理業務の処理基準などを明確にし、自社の実態に合わせて整備することが重要です。
そして、最も大切なのは、
「規程があること」ではなく、「規程に基づいて実際の運行管理が行われていること」
です。
車両の増車、運行管理者の変更、点呼方法の変更、営業所の体制変更などがあった場合には、運行管理規程も一度見直してみましょう。
巡回指導を控えている運送事業者様は、規程だけでなく、点呼記録、乗務記録、運行指示書、運転者台帳、教育記録などと照らし合わせて、実際の運行管理体制に問題がないか確認することをおすすめします。
行政書士福原総合事務所では運送事業者様をサポートしています
運行管理規程は、一般貨物自動車運送事業者が安全な運行管理を行うために重要な社内規程です。
運行管理者の職務や権限、統括運行管理者の組織・職務、運行管理業務の処理基準などを明確にし、自社の実態に合わせて整備することが重要です。
そして、最も大切なのは、
「規程があること」ではなく、「規程に基づいて実際の運行管理が行われていること」
です。
車両の増車、運行管理者の変更、点呼方法の変更、営業所の体制変更などがあった場合には、運行管理規程も一度見直してみましょう。
巡回指導を控えている運送事業者様は、規程だけでなく、点呼記録、乗務記録、運行指示書、運転者台帳、教育記録などと照らし合わせて、実際の運行管理体制に問題がないか確認することをおすすめします。
行政書士福原総合事務所では運送事業者様をサポートしています
行政書士福原総合事務所では、一般貨物自動車運送事業者様を対象に、
運送業許可
各種変更手続き
事業報告書
事業実績報告書
巡回指導サポート
運送事業に関する各種手続き
などをサポートしています。
代表は、ドライバーから運行管理者、運送会社役員を経て行政書士となった経験があります。
そのため、行政書士として書類を作成するだけではなく、運送会社の現場を経験した立場から、事業者様の実情に寄り添ったサポートを行っています。
「運行管理規程を見直したい」
「巡回指導の前に運行管理体制を確認したい」
「点呼や記録の管理方法に不安がある」
「運行管理について何から改善すればよいかわからない」
このようなお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。
対応地域:関東全域
※運行管理規程の内容や届出、運行管理に関する制度は法令・通達等の改正により変更される場合があります。実際の手続きや運用については、最新の国土交通省・管轄運輸支局の情報をご確認ください。
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