「法定12項目」とは?各項目の指導から違反対策までを解説!
日々、様々な種類の荷物を運ぶ運送ドライバー。新型コロナウイルスが流行してから多忙を極めるドライバーに対して、運送事業者は指導・教育を実施しなければなりません。
これらの指導・教育は、「お客様の荷物を安全に、正確に届ける」というドライバーの職務のために欠かすことのできないことであり、それは同時にドライバー自身を守ることにつながります。
本記事では、ドライバーへの指導・教育である「法定12項目」の内容を中心に解説します。
ぜひ、参考にしてみてください。
いわゆる「法定12項目」とは?
そもそも「法定12項目」とは、国土交通省が定める指導項目のことであり、「貨物自動車運送事業者が事業用自動車の運転者に対して行う指導及び監督の指針」という名称で、その内容などが決められているのです。
指導・教育を行う目的は?
普段、ドライバーは会社の目を離れて単独で仕事を行います。つまり、様々な場面においてドライバーが自己判断をしなければならない場面が多いのです。ですが、その自己判断をするためにはそれなりの知識や技能、経験が必要になりますよね。
ドライバーに法令を遵守できるような知識を提供して守ってもらうこと、事故を未然に防ぎ、万が一何があっても落ち着いて対処できるようなメンタルを身につけてもらうことが、「法定12項目」の大きな目標といっても過言ではありません。
「法定12項目」の具体的な内容とは
ここからは、「法定12項目」について具体的に一つひとつを確認していきましょう。各項目を簡単にまとめて解説しますので、詳しい内容は必ずマニュアルや国土交通省が出しているものを読むようにしてください。
1.トラックを運転する場合の心構え
ここでは、トラック輸送が日本経済を支える重要な役割を担っていることやトラックが事故を起こすことがどれだけ社会的に大きな影響を及ぼすかということ、そして、安全運行の重要性について書かれています。
この項目のポイントは、「運送業者の一員としてプロ意識を持つこと」と言えるのではないでしょうか。
2.トラックの運行の安全を確保するために遵守すべき基本事項
この項目は、いわゆる法令に関することが中心に書かれています。「貨物自動車運送事業に関わる法令」や「自動車の運転に関わる法令」など、ドライバーが守らなければならない法令は多くあります。
「絶対に守らなければならない!」とプレッシャーがかかるほどになってはいけませんが、日頃から自然と意識できるレベルで伝えていくように工夫して伝えるようにしましょう。
3.トラックの構造上の特性
私たちが日常的に運転する車とトラックは、かなりの違いがあります。それらを理解して適切な運転ができるようになるために、この項目では内輪差の問題や大型車両だからこその特性について教育・指導するのです。
実際に運転する中で理解していくことも多々あると思われますが、知識と体験が結びつくことで運転スキルは向上するでしょう
4.貨物の正しい積載方法
運送時に「どのように貨物を積むか」ということは、とても難しい問題です。ドライバーは、運行中の荷崩れや偏りによる車体への負荷をかけないための積み方や荷崩れを防止するための運転テクニックを知っておく必要があります。
この項目については実際の業務に直結する部分であるため、時間をかけて伝えて良いのではないでしょうか。
5.過積載の危険性
近年、過積載はどの事業者も気をつけている部分であるかと思われますが、やはりドライバー一人ひとりの意識形成が必要です。過積載による事故のリスクはとても大きく、未然に防ぐことができることであるため、事故事例などを踏まえながら伝えることが効果的なのではないでしょうか。
特に過積載には違反点数や罰金があることを伝えることも重要です。
6.危険物を運搬する場合に留意すべき事項
運送ドライバーとして様々なものを運ぶことになります。危険物を取り扱う際の注意事項は、各ドライバーが理解しておかなければなりません。また、危険物輸送時に事故が起こってしまった場合に適切な対処法を伝えておきましょう。
7.適切な運行の経路及び当該経路における道路及び交通の状況
ドライバーは「安全かつ正確に荷物を届けること」が仕事です。そのためにどういった経路を選ぶのが良いか、また、想定していた経路が使えないことになった場合にはどういった経路選択をすれば良いかを選択できなければなりません。
適切な経路選びの方法については、各地域の特性などがあることを踏まえて事業者ごとのノウハウなども踏まえながら指導・教育するようにすることがコツです。
8.危険の予測及び回避並びに緊急時における対応方法
これは、いわゆる「危険予知(予測)」です。「KYTトレーニング」はこれまでにも指導していたり各ドライバーも経験があるでしょうが、一般的な「KYTトレーニング」だけでなく事業者だからこその危険予知が必要になります。また、実際に緊急事態が発生してしまった場合には冷静に適切な行動を取らなければならないため、どういった対応をする必要があるのか、自然災害が発生した場合にはどうすれば良いかも指導しておかなければなりません。
9.運転者の運転適性に応じた安全運転
ドライバーには「運転者適性診断」が義務付けられています。主に「初任者(ドライバーとして新たに雇い入れられた者)」や事故を起こした者、高齢運転者に対して行われますが、それ以外の運転者にも行われることがあります。
それぞれの「運転のクセ」を理解することで、それを治して安全運転を行うための指導を行うために重要です。
10.交通事故に関わる運転者の生理的及び心理的要因とこれらへの対処方法
日々の運転における事故の要因は、実に様々なものが挙げられます。主に「心理的」「生理的」という二つの要因に分けられますが、それらについての理解をしておくことで未然に対策を打つことができるのです。
特に過労運転、飲酒運転、自分の運転技術を過信することは事故に直結します。これらは全てヒューマンエラーですから、この後に出てくる「健康管理」とともにしっかりと指導するとともに、日常から気をつけておける環境を作るようにしましょう。
11.健康管理の重要性
ドライバーは常に事故のリスクと戦いながら運転しています。また、時間通りに荷物を届けれなければならないというストレスや生活リズムが崩れやすいことから、体調を崩しやす口なります。そこで、健康診断やストレスチェックを受けることの重要性や日々の健康管理のポイントなどを伝えるようにしましょう。
12.安全性の向上を図るための装備を備えるトラックの適切な運転方法
車両には安全性向上のための装置が装備されていることが多いですが、それによって安心してしまい事故が発生することがあります。安全装備の性能を適切に理解しておくことで、常に安全運転を意識できるよう指導するようにしましょう。
指導・教育時の配慮事項や記録のポイントについて
これまでに解説してきた「法定12項目」については、「事業者が乗務員に対して行う一般的な指導及び監督の指針」として、指導時の配慮や指導内容、記録管理の仕方、記録フォーマットなどが用意されています。また、国土交通省がマニュアルを出していますので、目を通しておくようにしましょう。
指導の方法やスケジュールは明確に決められていませんが、どのような方法であれ確実に指導すること、それが実務で活きるようにしなければなりません。
指導・教育をしないと違反対象になる
これらの指導・教育を行わない場合には違反とみなされ、罰則になることもあり得ます。各項目を理解して、適切な指導を確実に行いましょう。
なお、指導・教育が適切になされておらず「運転者に対する指導監督義務違反」とみなされてしまった場合には【初回:20日車 再違反:60日車】の罰則になることがあります。
まとめ
ここまで、「法定12項目」の各項目の内容を中心に解説しました。これら「法定12項目」の内容は、指導・教育者がしっかりと理解してドライバーに伝えるようにしましょう。
どれもドライバーにとって無駄なことではありませんが、なかなか浸透しないかもしれません。指導・教育する側が前向きに、自ら実践していくことで重要性を全体的に伝えていくことも重要です。
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